国際物理オリンピック2023日本大会 開催趣意書
国際科学オリンピックは、高校生を対象とする国際的な科学のコンテストであり、数学、物理、化学、生物学、地学、地理、情報の各分野の国際オリンピックが開催されています。
国際物理オリンピック(International Physics Olympiad:IPhO)は、その第1回大会が1967年にポーランドで開催されて以来ほぼ毎年開催され、2019年夏のイスラエル大会で第50回を数えています。日本は2006年の第36回大会から毎年参加しており、派遣された代表選手たちは優秀な成績を収めています。
我が国は物理学の基礎研究ならびに応用研究において世界を先導する国の一つであり、かつ、既に10年以上にわたってIPhOに参加していることから、IPhOの日本開催を望む声が近年高まっていました。これを受けて関係者で検討の上、第53回にあたる2022年のIPhOを日本で開催することとし、準備を進めて参りました。
日本大会の開催は、科学技術先進国である我が国の国際的な責任を果たすものであるとともに、次世代の科学技術人材の育成において大きな意義をもつイベントとなります。我が国の将来の科学技術を担うべき優秀な高校生たちにとっては、オリンピック参加が強いモチベーションとなるとともに、世界の同世代の優秀な若者との交流で大きな刺激を受けると確信しています。また、大会実施組織委員および大会参加国引率役員には物理教育に関わる者も多く含まれることから、その交流や意見交換は各国の物理教育ならびに理数教育のレベル向上に大きく貢献するものと期待されます。
日本大会の開催準備のため、2016年4月に小林 誠(2008年ノーベル物理学賞、高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授)を委員長とする組織委員会を発足させ、準備活動を開始しました。また、2018年4月には、一般社団法人国際物理オリンピック2022協会(IPhO2022協会。会長:小林 誠)を設立して鋭意準備を進めてきたところです。
しかしながら、このたびの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、2020年に予定されていた第51回IPhOリトアニア大会は開催を断念せざるを得なくなりました。IPhO本部がリトアニアならびに将来の開催予定各国と調整を行った結果、第51回IPhOリトアニア大会を翌年(2021年)に順延し、それ以降のIPhO大会も1年ずつシフトすることとなりました。これに従い、IPhO2022協会としても、文部科学省はじめ関係各機関と協議の上、第53回IPhO日本大会を当初予定の2022年から1年シフトして2023年に開催することといたしました。
このように日本大会の開催を1年順延したことに伴い、法人および組織委員会の名称も国際物理オリンピック2023に変更して取り組むこととしております。日本大会の成功に向けて各界からの力強いご支援をお願い申し上げます。
2020年7月1日
一般社団法人 国際物理オリンピック2023協会会長
国際物理オリンピック2023組織委員会委員長