「国際物理オリンピックに参加して」 山村 篤志 リレー・エッセイ2-16

物理オリンピックに参加して

2010年クロアチア大会日本代表
2011年タイ大会日本代表
2017年インドネシア大会役員
(オブザーバー)として同行

山村篤志

私が本格的に物理を勉強するきっかけとなったのは、おそらく10年近く前に物理チャレンジ(日本国内の物理コンテスト)の一次選考に参加したことであったように思います。その頃は豚インフルエンザが流行し学校が一週間ほど休校となり、一次選考の提出課題であった実験をひたすら自宅で行っていたことが、現在のコロナウィルスのパンデミックの状況とも重なり懐かしく思い出されます。その物理チャレンジでは最終的に物理オリンピックの代表候補や代表として選抜され、それからは自習に行ったり、あるいは物理オリンピック委員会の先生方やOBの方、学校の先生に指導して頂き、物理学の深淵さや面白さに気づかされることになります。

私が思うに物理学の面白さの一つは、「実証的な方法で常識を覆すようなこの世界の事実を導き出せる」ことにあると考えます。そうした例のうちで最も歴史的に古いものの一つは地動説の発見でしょう。天体の運動の測定方法の確立やケプラーの法則、ニュートンの運動の法則などの解明などによって地動説は誰もが信じる説となりましたが、このような物理学の発展なしではとても信じられる説ではないように思いますし、もし私がその時代に生きていれば地面が動いているなど信じることができなったと思います。このようなとても信じられない衝撃的な説を実証的に誰もが信じられる形で示せることこそが物理学の大きな力であり魅力であると思っています。私が物理オリンピック等を通して学んだ量子力学や相対性理論も似たような衝撃を私に与えました。異なる二つの状態が同時に存在できる、時間や空間は絶対的なものではない、そのような信じがたい事実が理論と実験によって実証されているという衝撃に心惹かれたことを覚えています。

上記のような大きな発見ではないにしても衝撃的で面白い事実はこの世界に溢れています。現在私はスタンフォード大学応用物理学科の博士課程に在籍していますが、このような衝撃を求めて日々研究しています。日々の研究では目の前にある小さな課題や問題に目がいきがちですが、中高生の時に得た初心を忘れずに過ごしていきたいと思うばかりです。現在中高生の方も様々な経験やチャレンジを通して、自分の心が動かされるものは何か、自分が素晴らしいと思う事は何か、自分がやりたいと思える事は何か、そういう問いに答えるためのピースを集めるのが良いではないでしょうか。私にとって物理チャレンジや物理オリンピックはその1ピースを与えてくれるものでした。

スタンフォード大学ではたまに物理オリンピック出場者に出会うことがあり、物理オリンピックで色々な海外の学生と交流した記憶が蘇ります。2023年には日本でこの大会が開かれる予定と聞きます。日本から世界の交流の輪を広げ、世界中の学生の将来の1ピースとなるような大会になるよう願っています。

【略歴】

出身地 兵庫県芦屋市
出身高校 私立灘高校
大学 東京大学理学部物理学科
大学院 東京大学工学系研究科修士課程修了
現在 スタンフォード大学応用物理学科博士課程在籍

物理オリンピック(IPhO)で他の参加者と作った”IPhO”の人文字。筆者は右から二人目

 

【ご支援欄】
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