「国際物理オリンピックに参加して」 蘆田 祐人 リレー・エッセイ2-17

物理オリンピックに参加して

2009年メキシコ大会
蘆田祐人

 

物理学に興味を持った明確なきっかけは正直思い出せないのですが、おそらく自分の性に合っていたのだと思います。

中高の頃はじめは数学が好きで独学で勉強していましたが次第に、抽象的なものよりは身の回りの自然現象が直接説明できる科目に興味が向いていきました。といっても化学や生物は憶えることが多過ぎて自分には向いていないと感じました。そんな折に高二から物理の授業が始まり、少ない基礎法則だけから多彩な現象が理解できる点が自分の性に合っていると直感し、夢中になりました。(当時は絵を描くことも同じぐらい好きでしたが、研究も一種の創作活動と捉えると通ずる所があるかもしれません。)

物理チャレンジに参加したのは、ちょうどその頃ホームルームで担任の先生に薦められたのがきっかけでした。当時部活動もそれなりに忙しかったのですが、気分転換になりそうだし何より良い腕試しの機会になると思い、軽い気持ちで参加をしました。この時点では将来物理をしながら生きてゆくことなど想像しておらず、またそんな幸せな職業―物理学者―が存在することすら明確に認識していませんでした。

物理チャレンジ・オリンピックに参加し、実際に第一線で活躍されている研究者と交流する中で、私の中で得体の知れない存在であった「物理学者」というものを、実体として肌で感じることができました。このことは、それまで趣味であった物理を続けて生きていく、つまり物理学者になろうと決心する上で極めて重要な体験だったと今振り返って感じます。

幸いにも私は物理を続けているわけですが、高校生の頃とは異なり少なくとも形式的には物理が趣味から職業に変わりました。これが何を意味するのか(あるいは何も意味しないのか)少し悩んだ時期がありました。そんな折ファインマンの有名なエッセイの一節を思い出しました:“I’m going to play with physics … just doing it for the fun of it.”。私も初心に戻り、自由な気持ちで引き続き物理を楽しんでゆこうと再認識しました。

物理オリンピックに参加される中学・高校生の方々も大いに物理を楽しんでください。IPhO2023日本大会が皆様にとって貴重な体験になることを願っております。

【略歴】

出身地 東京都
出身高校 慶応義塾高等学校 2010年卒業
大学 東京大学理学部物理学科 2014年卒業
大学院 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程2019年修了
職歴 東京大学大学院理学系研究科准教授
東京大学大学院工学系研究科助教を経て2020年11月より現職

 

【ご支援欄】
IPhO2023日本大会は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの「次世代人材育成事業」の「国際科学技術コンテスト支援」並びに公益社団法人応用物理学会からの「応用物理学学術・教育奨励基金」によるご支援を頂いています。
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<寄付順・敬称略> 2023年8月末 現在

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